コラム

ユーザがシェアリングエコノミーに求めるもの

なんで好きなんですか?

ユーザが既存サービスを利用せずにシェアリングエコノミーを利用する理由は、一般的に以下の順序になります。

  1. 相場以下の価格
  2. コミュニティ
  3. 利便性
  4. 社会的貢献

やはり価格へのニーズが1番高くあります。また最下位ではありますが社会的貢献にも注目したいところです。根底の感覚として、エコで自然に優しい活動をおり、今までよりも善人になれたという感覚がシェアリングエコノミーの活動を通して得られることができます。

またこれらを通してユーザは以下のような欲求を満たしています。

  • コミュニティへの欲求
  • アイデンティティへの欲求
  • 承認欲求
  • 社会貢献への欲求

これは先ほどの社会的貢献にも通じるものがあります。同じ感覚を持つ仲間と繋がり会い、助け合い、他の人とは違うポジションを手に入れて、評価によって認められて、それら全てを通して社会に認められたという感覚を得ることが出来て、お金には換えられない一期一会の充実した体験を得ることができるのです。

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シェアリングエコノミーのリスク

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シェアリングエコノミーは新しい考え方であり、既存市場に挑戦をする場合が多くあります。ある意味で法律の抜け穴を使って過剰なサービスや管理コストをかけないことにより安価なサービスを提供しているため、国や自治体や既存業界から思わぬ規制がかかる場合もあります。

例えばUberが福岡でサービス提供を始めた際には既存のタクシー業界から規制がかかりました。airbnbは旅館業法では看過できない場合が多くあり、海外でも多くの地域で規制がされています。ベビーシッターのマッチングサービスを使って事件が起きたこともあり、ベビーシッターを国家資格にしたり登録制にするという動きもあるようです。

様々なリスクが付きまとうシェアリングエコノミーですが、ポジティブな面もたくさんあります。むしろ既存の業界に一石を投じて世界をより良く変えていこうという活動が根底にあるので、衝突は当然ながら避けられません。辛抱強く交渉を重ねたり、ボトムアップでムーブメントを作ったり、官公庁にロビー活動を行ったり、マーケティング的にパーセプションチェンジを起こすような活動が必要になることでしょう。

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シェアリングエコノミーの副産物:コミュニティの形成

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シェアリングエコノミーの必須条件として信頼関係の構築があります。赤の他人のユーザ同士を信頼してシェアをする必要があるからです。

この副産物として、シェアリングエコノミーには強固なユーザコミュニティが生まれます。ほとんどの場合コミュニケーションはユーザ間で完結しており、事務局がトップダウンで仲介するのは事務的なやりとりに限定されます。トラブルが発生した場合もユーザ同士で解決することが大半で、例えばAirbnbでは初期の1万件の予約までの間トラブルは全てユーザ間で解決されてきたそうです。

強固なコミュニティはユーザの帰属意識も生み出します。コミュニティが拡大すればするほど、所属ユーザの満足度は増します。自分が世界の大きな何かの一員になっている感覚を与えてくれてその感覚がさらにコミュニティ内の信頼度を増幅させていき、またトラブル発生時の自浄作用にも繋がっていきます。

この副産物のコミュニティは、市場においても大きな力を持つことになります。その分野において熱狂的でロイヤリティの高いユーザにリーチできるチャネルを維持していることはあらゆる市場において大きな意味を持ちます。コミュニティこそがブランドであり既存の市場がもつことができない唯一無二の価値となります。

また、このようなコミュニティを維持するために、如何にして信頼関係を維持し続けるかということも重要なポイントです。常に利用者同士でレビューをし合うため、どうしてもネガティブな評価がしづらくなりがちです。それを解消するために、airbnbでは、片方が書いたレビューを閲覧するためには、もう片方もレビューを投稿するか15日が経過するまで見れないという仕組みにしてあります。

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シェアリングエコノミーのビジネスモデル

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結局のところシェアリングエコノミーはビジネスとして儲かるのでしょうか?

シェアリングエコノミーのビジネスモデルは以下の3パターンになります。上から順に低リスク、低利益率となります。

  • 掲載料 / 基本料徴収型
  • 成約仲介手数料型
  • 自社リソース提供型

掲載料 / 基本料徴収型

事務局はプラットフォームを提供して、参加ユーザが自分の余剰資源を掲載することに対して課金するモデルです。成約するか否かにかかわらず課金をするためプラットフォームはメディアとしての機能に特化しています。このモデルは利用頻度が固定されていたり単価の幅が小さい分野で有効です。例えば月額定額でファッションを届けてくれるサービスなどが相性が良いです。

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成約仲介手数料型

Airbnbに代表されるほとんどのシェアリングエコノミーのモデルです。大体10〜20%程度が事務局手数料として徴収される場合が多いようです。取引がオンラインで完結する場合、きちんと取引をデジタルにトラッキングできる場合に有効です。

この場合の黒字化の方法は、規模の拡大を追求して取引数を増やすしかありません。将来的に十分な利益を確保できるだけのスケールする市場規模を見込める戦略をたてる必要があります。

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自社リソース提供型

これはある意味でシェアリングエコノミーから外れるのですが、シェアリングエコノミーを追求するうちに到達する黒字化の手法の一つです。既存市場が明らかに過剰な利益を得ているのにリユース市場への流通がそもそも無いような場合は、自分達で余剰資源をかき集めてしまってプラットフォーム内の1参加者として安価に売りさばくという手段があります。

宝石やブランドファッションなどの型落ち品、破損品で妥協できるユーザのマッチングするプラットフォームを作る、などが考えられます。

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新サービス検討のためのフレームワークと思考実験

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シェアリングエコノミーの新サービスを検討するには、先述の4原則をクリアする方法を考えていく必要があります。

  1. 埋もれた余剰資源の模索
    まずは、どの分野でシェアリングエコノミーを始めるか。
    例えばAirbnbは創業者が自宅の空いている部屋をみて、これを旅行者に向けて有効活用できないかと考えてサービスを始めました。このように自分の身の回りにある余剰資源とそれを使ってくれそうな未来のユーザをイメージすることが最初のスタートになります。

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  2. 既存市場の限界利益
    ビジネス面での数字も検討する必要があります。あなたが車のシェアサービスを始めようと思ったら、既存市場のライバルはレンタカーなどが該当するでしょう。
    シェアリングエコノミーはほとんど場合は既存市場より利用価格が安価である必要があります。
    値段だけがウリではありませんが、利用単価の節約というのはシェアリングエコノミーユーザのモチベーションとして上位にあります。
    プラットフォームの構築費用や余剰資源の維持費用や事務局費用をさっ引いても既存市場と戦えるだけの値段設定が可能かどうかを算出しましょう。

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  3. リスクを超える信頼関係構築のハードルの高さ
    シェアリングエコノミーは既存市場よりもリスクを伴いがちです。
    見知らぬ他人と何からの資源をシェアするわけですから、その接点において様々なリスクが伴います。
    車のシェアであればどこかに連れ去られるかもしれませんし、空き部屋の提供であれば部屋を汚されるかもしれません。
    リスクの内容はサービスによって大きく異なります。
    それらを乗り越える手段も様々です。
    アズママという子育てシェアのサービスではリアルイベントを頻繁に開催してママ同士が顔を合わせる機会を増やすことで信頼性を向上させています。
    一方でこの場合はリアルに顔を合わせる範囲でしか規模を拡大させることができないトレードオフを抱えています。

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  4. シェアリングエコノミーに向くもの、向かないもの
    上記のような思考実験をしていくと、シェアリングエコノミーに向くものと向かないものがぼんやりと見えてきます。
    こちらは2011年時点のシェアリングエコノミーの参入機会のある分野を示した図ですが、今でも十分に使える内容です。

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    この図にあるようなシェアリングエコノミーの発展を支えたのは先述したテクノロジーの進化です。
    つまり今後発展可能性のある分野とは、次の時代のテクノロジーのトレンドと相性の良い未開拓の埋もれた資源があるような領域です。
    今のテクノロジートレンドだと例えばIoT、ビッグデータと分析、ウェアラブルなどがあります。
    全てのデバイスがネットワークに繋がることで今までアクセスすることが困難だったような資源をシェアすることが可能になるかもしれません。

シェアリングエコノミーの流行の背景

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シェアリングエコノミーの仕組みが世に出てきたのは今に始まった話ではありません。むしろインターネットを使ったサービスの真髄はシェアリングエコノミーにあると言っても良いくらいです。インターネットで世の中の皆が繋がって助け合う仕組みはインターネット黎明期の頃からたくさんありました。掲示板サイトやメーリングリストなどで形成されたコミュニティでの助け合いも広義のシェアリングエコノミーといえるでしょう。

今こうして改めてシェアリングエコノミーが注目されているのは、テクノロジーの進化が後押ししているからです。特にソーシャル・モバイル・クラウドの成熟した昨今においては従来実現することが難しかった分野でのシェアリングエコノミーが発達しています。

ソーシャルは、人々の繋がりの形成、信頼関係の構築、検索系の向上に役立っています。

クラウドとモバイルは、コンピュータの利用場所を自宅から開放してくれます。いつでもどこでも手軽にシステムを使うための利便性を提供しています。

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シェアリングエコノミーと既存概念との違い

仲間とパワーソース

シェアリングエコノミーは以下のような既存概念と同様の思想を持ちます。

  • オークション
  • リサイクル
  • エコ

どれもリユースを尊重し環境を大事にして限りある資源を大事にするというものです。

シェアリングエコノミーはこれらの流れを踏まえて、テクノロジーの進化を最大限に活用したものです。ソーシャル・モバイル・クラウドを利用することで、今まで共有することが難しかった資源に手を伸ばして世に送り出すためのプラットフォームを提供しています。

シェアリングエコノミーが成立するための条件

シェアリングエコノミーをビジネスとして成立させるためには、以下の4大原則があります。

  1. 余剰資源の活用
  2. クリティカルマスの存在
  3. 共有資源の尊重
  4. 他者との信頼

余剰資源の活用

余剰資源の活用こそがシェアリングエコノミーの核心です。様々な分野に広がるシェアリングエコノミーですが、共通しているのは余剰資源をどのようにして再分配するか、ということです。

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クリティカルマスの存在

クリティカルマスとは、システムそれ自体が自律するためのユーザ規模の事です。サービス内容によってクリティカルマスは異なりますが、シェアリングエコノミーが自律的に動き出すためにはクリティカルマスに到達するユーザ規模が必要となり、逆に言うとそこまで成長するまでは事務局側がクリティカルマスに代わる価値を提供する必要があるということです。例えば自分で余剰資源を集めて提供する、などです。

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クリティカルマスが必要な理由はチョイスの多さを提供することです。シェアリングエコノミーは不特定多数ユーザによる品物の持ち寄りになるので、どうしてもラインナップに穴が出来てしまいます。特定サイズの衣服が仕入れられなかったり、特定場所の車が準備できなかったり。これでは既存流通網に見劣りして人が流れてしまいます。これを解決して、不特定多数の資源の中から自分の希望に合う製品を見つけるという消費行動を満足させる必要があります。

共有資源の尊重

シェアリングエコノミーは、限られた資源を共有して大事に使うというエコロジーの精神も必要になります。その考え方が背景にあるからこそ、皆な余剰資源を持ち合い、共有して、それを繰り返すという行動に結びつきます。使い捨て感覚で資源を廃棄する考えの基には根付きません。

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信頼関係の構築

シェアリングエコノミーは不特定多数の資源のマッチングをするため、必ず不特定の誰かと交流をすることになります。その交流が円滑に成立するためには見知らぬ誰かを信頼するという仕組みが必ず必要になります。見知らぬ誰かに部屋を貸しても大丈夫、見知らぬ誰かにお金を払ってもきちんと商品を送ってくれる、見知らぬ誰かに自分の赤ちゃんの面倒を見てもらえる、等々。

これらの信頼を手助けするための仕組みをプラットフォーム側は用意します。サービスと相性の良い信頼システムは色々な形式があり、これを見つけ出すにはコミュニティと向き合いながら試行錯誤が必要なプロセスを経ることになります。信頼構築の仕組み例としてはユーザの自己紹介の充実、身辺調査結果の掲載、レビュー、ユーザ同士の紹介、オフライン交流会などがあります。

これらの4原則はシェアリングエコノミーに必須ではありますが、分野次第でその重要度は異なります。例えば人系サービスの場合は信頼関係の構築が最大の重要度となり同時に最難関のハードルにもなります。

お互いへの信頼

シェアリングエコノミーの分類

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シェアリングエコノミーとして発達しているサービスは、主に5つのカテゴリに分類ができます。

それは

  1. もの系
  2. 場所系
  3. 移動手段系
  4. 人系
  5. お金系

の5つです。

発達している分野の特徴は、埋もれた余剰在庫を抱えている分野です。今までは実際に友人・知人同士でカジュアルな交換がなされていた物がある分野や、不特定多数の人が参加できるプラットフォームが存在していないような分野への新規参入に大きな可能性が秘められています。

もの系

物々交換やリサイクルなどを行い世の中の余剰な品物を流通する仕組みです。わかりやすいところだとヤフオクeBayのようなオークションサイトもそうですし、最近だとフリマアプリのメルカリが有名です。オフラインの例だとフリーマーケットやリサイクルショップが該当します。

また売買や交換ではなく、物品のレンタルという形もこの分野に該当します。利用頻度の低い物、購入単価が高いものなどが相性が良いです。家庭内工具、キャンプ用品、イベントグッズ、スポーツグッズ、車、ドレス、船などあげれば切りが無く、実際これら専門のレンタルサービスは数多くあります。

オフラインの時代には、自宅にある余剰リソースのもらい手を探して売買や譲渡をするにはとても手間がかかりましたが、テクノロジーの力で出品や検索のハードルが下がり、スマートフォン一つあれば皆手軽に出品ができるようになりました。

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場所系

シェアリングエコノミーの火付け役にもなった空き部屋共有のAirbnbが非常に有名です。Airbnbは場所系ジャンルに留まらず、他のあらゆるシェアリングエコノミーのモデルケースとして完成度が高いサービスです。場所系は世の中の余剰な空きスペースを共有するものですが、ジャンルはとても幅広くあります。空き会議室、空き倉庫、空きロッカー、空き畑、空き駐車場などです。

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移動手段系

ライドシェアリングに代表される分野で、自家用車、タクシー、自転車、ボートなどのシェアが発達しています。カーシェアリングサービスは日本でも近年非常に発達をしています。タクシーは LINE TAXIUberジップカーなどが登場しています。自転車も地方自治体単位で多くのレンタサイクルサービスが登場しておりますし、NTTドコモも参入を発表しています。

移動手段というのはそもそも移動する時にしか利用しないため、移動していない時間は遊休資源として活用がされずに無駄な維持コストがかかっているわけです。移動手段の資源を最大限に有効活用するには、常に移動を続けてもらう必要があります。電車などは日中は常時動き続けており資源のパフォーマンスを最大化している例です。これを実現するためには、移動ニーズと移動手段の場所のリアルタイムな把握、場所を問わない簡易な受発注プラットフォームが必要になります。モバイルとクラウドの発達がこれを可能にしてくれました。

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人系

人が持てあましている時間を、他の人に提供する分野です。人手の貸し借りをするAny+TimesTaskRabbit、時間制なんどもチケットを共有するTimeTicketなどが該当します。その他にも家事や育児の手伝いをするサービスも同様で、Casyベアーズキッズラインアズママなども該当します。

人のシェアリングエコノミーは、後述するように、とてもハードルが高い分野です。それはシェアリングエコノミーの必須要件の一つである他者との信頼関係の構築がダイレクトに影響する分野だからです。人の時間のシェアとはつまり、普段自分が行っている作業を人に代行してもらうことです。自分しか入れない空間、自分しか扱えない物や人に対して、赤の他人が目の届かないところで作業をすることになるため、他のシェアリングエコノミーと比較して大きな信頼関係を構築する事ができるプラットフォームの提供が求められることになります。

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お金系

ソーシャルレンディングと呼ばれる市場で、お金の貸し借りをP2Pで行う分野です。クラウドファンディングも広義では該当します。必要な金額と理由を掲載すると、その内容に応じて貸し手が連絡をしてきます。お互いに金利や条件などを合意すれば契約が成立してお金を貸してもらうことが出来ます。大手のLending ClubはIPOを果たしましたし、日本だとmaneoSBI social lendingなどもあります。

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シェアリングエコノミーとは

シェアリングエコノミーとは、世の中に余っている人、物、金などをみんなで共有する仕組みの事です。

家の中で使われずに眠ってしまっている部屋、工具、おもちゃ、服。空いたまま長年活用されていない空き地、空き倉庫、空き畑、空き駐車場。いつも特定の時間やることがなくて時間を持てあましている主婦、学生、医者、弁護士、税理士。

シェアリングエコノミーの需要

このような世の中に点在している遊休資源を一度集め直してしまい、必要な人に再分配する仕組みがシェアリングエコノミーです。

シェアリングエコノミーの考え方は様々な分野に適用可能です。実際非常に多くの分野でシェアリングエコノミーのビジネスが立ち上がっています。そしてこれまで多くのシェアリングエコノミービジネスが生み出される中で、その成功のための基本原則や条件が見えてきました。以降ではそのノウハウを紹介していきます。